園長先生のコラム

コラム 【 2023年1月号 】 「 4人目の博士の話 」

 1月6日は教会の暦で顕現日と言われています。2022年前ダビデの町と呼ばれていたベツレヘムに生まれたイエスさまを拝みに東方の賢者3人(ガスパル、メルキオール、パルサザール)が黄金、乳香、没薬を贈り物として携えはるばる砂漠を超えやってきた日とされています。東方教会(正教会など)ではこの日をクリスマスとして今も守っているようです。

 3人の博士が悪いへロデ王に謁見したために王はベツレヘムに在住する2歳以下の男の子を皆殺しにする命令を発しました。犠牲者は両親含め6000人という説もあります。夢でお告げを受けたヨセフはマリアと幼きイエスさまとエジプトへの逃避行の苦しい旅が始まりました。そして3人の博士は贈り物を捧げ聖書には「別の道」を帰ったと記述されています。3賢者が送った品は自分たちが仕事上で必要不可欠だった品であったにもかかわらずすべてを捧げたのは自分たちの人生にとってこの一事こそが大切だったからではないでしょうか。
ところが伝説では4人目の博士がいたという話があります。名はアルタバンと言います。
彼は3賢者と待ち合わせ場所ボルシッパの丘に病気の人を介抱したために遅れて到着しました。イエスさまにお捧げするためすべての財産を売り払い3つの宝石(サファイア、ルビー、真珠)を用意していました。しかし砂漠を渡るためのキャラバンを用意するためサファイアを売るしかありませんでした。路銀(旅の費用)は病人を助けるため使い果たしていました。やっとのことでベツレヘムに到着した時にはすでにイエスさま一行はエジプトに避難した後でした。ベツレヘムの町は赤ちゃん狩りの真最中でした。ある赤ちゃんの命乞いにルビーを使ってしましました。エジプト中を探しても中々会えません。イエスさまはユダヤに帰ったと聞きまたユダヤに戻り貧しい人々のために自分の知識や技術を伝えるうちに数十年が過ぎました。イエスさまがエルサレムに入城されたと聞き会いに行きます。途中で十字架につけられるというイエスさまのうわさを聞きます。最後の宝石真珠でお目こぼしを受けお助けしようと考えますが昔の友人の娘が借金のために売られていく現場に出会います。アルタバンは真珠で娘を助けるために使ってしまいます。ゴルゴタの丘ではイエスさまが息を引き取られました。翌日長年の心労のため寿命が来たことを知ったアルタバンはイエスさまの墓に行こうとしました。彼の前にイエスさまが現れます。彼は3つの宝石をお捧げできなかったことをお詫びしました。イエスさまの答えは「あなたの贈り物はすべて私に届いている。それは私の小さな人々にしてくれたことはわたしにしてくれたことと同じなのです」ということでした。アルタバンは安らかに天に召されたのでした。

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